年末に向けての税金対策

こんにちは、はーいーです。今年も早いもので12月になりました。所得税は暦年(1~12月)課税です。今年の税金を減らす、もしくは還付される税金を増やすためには、今月中に対応が必要です。

上場株に関連することで考えてみました。

上場株の譲渡益と譲渡損の通算

ご承知のように、上場株の譲渡益と譲渡損は通算できます。同じ特定口座であれば、証券会社の方で通算してくれます。証券会社が異なる場合には、自分で確定申告が必要になりますので、ご留意ください。

上場株の配当と譲渡損の通算

上場株の配当と上場株の譲渡損も通算できます。譲渡益と譲渡損と同じように、同じ特定口座内であれば、証券会社が通算してくれます。

過去の上場株の譲渡損との通算

昨年以前に3年間で上場株の譲渡損が大きかった場合には、その譲渡損と通算することが考えられます。上場株の譲渡損を翌年以降に繰り越すためには、確定申告が必要です。もし過去3年間で譲渡損の方が大きく、確定申告していない場合には、今からでも間に合います。確定申告で譲渡損を繰越しましょう。

このように、上場株の譲渡益・配当と譲渡損は過去分含めて通算できます

上場株の譲渡益がある場合

上場株の譲渡益がケースを考えてみます。塩漬けになっている株があるようであれば、その株を売却し譲渡損を出すことで、譲渡益と通算できます。これにより、譲渡益に課税されていた20.315%の税金が還付されます。さらに塩漬け状態の株を精算でき、売却額が現金で入ってきます。この還付と売却額は次の投資に回せますので、とても効率的な対応だと思います。

上場株の譲渡損がある場合

譲渡損状態の場合はどうでしょう。先に記載しました通り、配当収入がある場合、配当収入と通算されます。この時、配当収入に課税されていた20.315%の税金が還付されます。そのため、売却損が配当収入の範囲であれば、証券会社の精算で完了します。譲渡損の方が配当収入が多い場合、選択肢としては2つ考えられます。一つは含み益がある株がある様であれば、その株を売却して、譲渡損と通算する方法です。もう一つは譲渡損をそのまま、来年に繰り越す方法です。ただ、繰り越すためには確定申告が必要です。

上場株の損失の繰越控除についてはこちらをどうぞ。

配当収入が多い場合

確定申告が必要になりますが、配当控除を受けるという方法があります。配当控除は課税所得1,000万円まで配当金の10%を税額控除できるという制度です。

例えば、課税所得が695万円に満たない場合、所得税率は20%です。20%(配当金に係る税率) – 10%(配当控除) = 10%(納付する税率)になります。そのため源泉徴収される所得税15%を5%下回ります。これによって、源泉徴収された所得税15%のうち5%分の還付を受けられます(もしくは、納付額が減る)(簡便的に復興所得税0.315%は省略しています。以下同じです)。

給与額面900万円の場合

給与額面が900万円で配当金を年間100万円受領されている方であれば、ざっくり5万円の還付が受けられます(住民税は申告不要を選択すれば、住民税の追加納付は発生しません。ただしこれは2023年分までです)。
注意点は、配当金も所得に加わりますので、給与と配当金の合計で考える必要があるということです。

給与額面1,000万円の場合

では課税所得695万円とは、給与収入で考えると幾らになるでしょうか。社会保険に加入している会社にお勤めであれば、額面が1,000万円くらいなら課税所得は695万円未満で収まります。つまり、かなり多くの人が、確定申告した方が有利ということです。額面1,000万円というのも扶養控除等未考慮なので、扶養控除等があれば額面は更に上がります。

給与額面580万円の場合

配当控除は10%ですので所得税率10%となる課税所得330万円未満の方はどうでしょう。配当金に係る源泉所得税の全額還付という計算になります。課税所得330万円未満というと社会保険に加入している会社にお勤めであれば、額面はざっくり580万円くらいでしょうか。

今から配当金やお給料を増やしたり、減らしたりは出来ないと思います。ただ、配当収入にぶつけるために、売却損を出すのではなく、配当控除を受けるという選択肢もあるかと思います。確定申告の手間はありますが、是非検討してみてください。

配当控除については、こちらもどうぞ。

IDECO

ご存知、IDECO(確定拠出型年金)です。NISAとの最大の違いは、IDECOは掛け金の全額が所得控除の対象になるという点です。月々の掛け金の上限は会社員で23,000円、個人事業主で68,000円です。今年の税金を減らすというより、来年以降の資産運用方針を含めてご検討頂くと良いと思います。

なお、IDECOと積立NISAの違いは、金融庁のHPでもまとまっていますので、ご参照ください。

教えて虫とり先生(第7回): 金融庁 (fsa.go.jp)

株以外

株以外にもできることはあります。お勤めの方であれば、年末調整で控除を受けられることは、全て受けましょう。生命保険料控除扶養控除の確認のほか、所得金額調整控除というのもあります。所得金額調整控除は給与の額面が850万円を超え、23歳未満の子供がいる方が要確認です。

ほかには、ふるさと納税も考えられると思います。地方自治体を応援しながら、ご自身の税金を減らすことができます。そのうえ、返礼品をもらえるケースもあります。

いかがでしたでしょうか。年末に向けてご自身のポートフォリオのチェックに合わせて、税金対策のご参考になれば幸いです。

本稿は現時点(2022年12月1日)の法令に基づいて記載しています。また、一般的な記載としておりますので、本稿に基づいて申告等行う場合には、事前に関連する専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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