こんにちは、はーいーです。所得税の確定申告の時期になりましたので、本日は確定申告について、ご紹介したいと思います。主に上場株の損益通算と繰越控除を取り上げる予定です。
確定申告
所得税の確定申告の期限はご存知の通り3月15日ですので、期限まで1か月を切りました。確定申告するにあたり節税をと考えても、昨年分の申告なので、今更株を売っても昨年の税金が安くなるということはありません。そのため、今から出来ることは正直ほとんどありません。ただ、確定申告することにより、還付を受けられたり、来年以降の税金を減らすことができたりしますので、利用できる制度をもれなく利用することが重要だと思います。
例えば、昨年末に配当金に係る税金ということで、主に配当控除についてご紹介しました。これは確定申告しないと適用できない制度ですので、是非ご検討頂ければと思います。
配当金にかかる税金についてはこちら。
損益通算と繰越控除
株について、確定申告した方が良いケースとして、代表的なのが損益通算と繰越控除です。
特定口座を利用していて、一年を通して損失が出ている証券会社の口座(仮にA口座)と利益が出ている証券会社口座(仮にB口座)がある様であれば、両方の口座を申告して損益を通算することができます。
損益通算
例えば、B口座の利益の方が、A口座の損失より大きい場合、B口座の利益からA口座の損失を差し引くこと(損益通算)できます。そうするとB口座の利益については全て20.315%で源泉徴収されていますので、A口座の損失の20.315%相当の源泉徴収が過大ということになります。この過大分を確定申告することにより還付を受けることができます。特定口座であっても、証券会社間の通算は証券会社では行ってくれませんので、自分で確定申告し損益通算することが必要です。
繰越控除
逆に、A口座の損失の方が、B口座の利益より大きい場合、B口座の利益にかかる源泉税は確定申告により全額還付になります。更に、通算しきれなかった損失については、その損失を翌年以後に繰り越すことができます(繰越控除)。この損失は3年間繰り越すことができるため、3年間の利益累計がその損失を上回るまで、無税になります。これも、証券会社がやってくれることではありませんので、確定申告する必要があります。
その損失の20%も今後の利益をプラスにできることを考えますと、よほど損失が少額でない限り、やった方がパフォーマンスの向上につながると思います。上の例では利益の出ている口座と損失の出ている口座がある場合を取り上げましたが、もちろん損失のみの場合でも、確定申告により繰越すことができます。
ただ、損失を繰り越す(繰越控除)場合には、毎年確定申告が必要です。確定申告しないと損失を繰り越せませんので、毎年忘れずに申告するようにしましょう。確定申告は手間と考えて、これまで損失分について確定申告されてこなかった方も、是非ご検討ください。
確定申告にあたっては、「特定口座年間取引報告書」が必要になりますので、証券会社に確認してみてください。
一般口座
特定口座でなく、一般口座で運用されている場合、損失に限らず利益が出ている場合にも確定申告が必要です。一般口座では譲渡益や配当金について源泉徴収されていないため、確定申告して納税する必要があります。
NISA口座
NISA口座については、譲渡益や配当金に税金がかからない一方、損失についても通算することはできません。株の運用するにあたって損をすることを前提にしている方はいないと思いますが、利益について税金はかからないけど、損も切り捨てられるNISA口座で運用するものと、特定口座で運用するものは分けて考えて方が良いかもしれません。
過年度分の申告
ここまで読んでいただいた方で、そういえば昨年ではなく、一昨年に損があったけど、確定申告していなかったな、という方もいるかと思います。そういう方は今からでも大丈夫です。
これまで確定申告をしてこなかった方で、3年以内に損失が出た証券口座がある場合、今からでも遡って確定申告出来ます。例えば、一昨年の損失を確定申告して、昨年の利益と通算するということも可能です。
ただ、すでに一昨年に確定申告していて、損失が出た口座を申告し損ねていた場合には、確定申告しなおすことはできません。これは、もともと特定口座で源泉徴収されていると、確定申告不要という取り扱いを受けることができます。もちろん、確定申告で申告することもできますが、確定申告でその口座を申告しなかった場合、その口座を申告しない、という選択をしたと考えられてしまうためです。
なお、年末調整だけしかされていない様であれば、年末調整は確定申告ではないので、これからでも大丈夫です。
以下は、株に係る税金ではないですが、確定申告について、一般的なことを取り上げたいと思います。
所得控除
株とは関係ありませんが、確定申告することにより、税金を減らせる制度がいくつもあります。
代表的なのは医療費控除です。医療費が10万円以上ある様であれば、申告すると所得控除を受けられます。医療費の領収書なんてなくしちゃったよ、という場合でも、「医療費のお知らせ」という書類が届いていると思いますので、それで昨年9月分くらいまでカバーできていますので、確認してみることをお勧めいたします。なお、入院などして保険金が下りた場合には、入院の費用から保険金を差し引く必要があるので、ご留意ください(入院費用より保険金の方が多い場合は、他の医療費から差し引く必要も、利益として確定申告する必要もありません)。
それ以外にも、ふるさと納税をした場合や、年末調整の際に出し忘れていた控除証明(生命保険料、地震保険料、IDECOなど)がある様でしたら、確定申告で税金を減らすことが可能です。
申告期限の延長
今年もコロナの影響で3月15日の申告期限に間に合わない場合には、申告書に付記することで1か月間の延長を受けられます。
以下、国税庁のパンフレットをご参照ください。
国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 以下の問2が簡易な方法が簡便です。
1 申告・納付等の期限の個別延長関係 (nta.go.jp)
簡易な方法については以下をご参照ください。
0022001-187_01.pdf (nta.go.jp)
ETAX
最近のETAXソフトはどんどん便利になってきました。スマホでもできます。マイナンバーカードがあれば、ETAXのIDを取得する必要もありません。マイナンバーカードですと、これまでカードリーダが必要でしたが、今年からスマホをカードリーダ代わりにすることができるようになりましたので、カードリーダも不要です。
【確定申告書等作成コーナー】-スマホがICカードリーダライタの代わりになります (nta.go.jp)
源泉徴収票、特定口座年間取引報告書や、医療費の領収書、控除証明書などを郵送しなければいけないとお考えかもしれませんが、郵送も不要になっています。
如何でしたでしょうか?資産運用にあたっては、税金は切っても切り離せません。面倒でも制度をうまく利用できれば、パフォーマンスの向上にもつながりますので、参考になりますと幸いです。
また、自分だけでは自信がない場合には、税理士などの専門家にお願いしてしまっても良いと思います。
いかがでしたでしょうか。確定申告、特に上場株の損益通算と繰越控除を検討される際にはご参照頂ければと思います。
本稿は現時点(2022年2月18日)の法令に基づいて記載しています。また、一般的な記載としておりますので、本稿に基づいて申告等行う場合には、事前に関連する専門家にご相談されることをお勧めいたします。
コメント